「一般普遍解」と「個別暫定解」

最近、非常に気になっている言葉があります。

それは「個別暫定解」という言葉です。

この言葉の意味は、「それぞれの状況に応じて差異や複雑性を残したまま、その場その場の当事者として、主体的に判断して解を導きだす」というものです(井庭2019)。

つまり、複雑性や不確実性が増し想定外が多発する現代においては、事前に計画したことに従い、何か一つの価値観で動いていくことは難しいということです。

さらに言えば、想定外に遭遇したり、計画の前提が崩れた時に、その都度の個別の状況に応じて解を導き出し、前に進む力がいま求められているといえます。

このように「個別暫定解」が求められる背景としては、従来の教科書的な前提条件が通用しない急激な社会の変化が挙げられます。

この「個別暫定解」という考え方の素晴らしい点は、「その時々」に「個別」にという点です。

刻々と変わり続ける「時」に応じて、多様な一人ひとりの「個」にフォーカスして、最適な解を導きだしながら前に進む。

いまや「普通」や「あたりまえ」という基準そのものが多様化する今、「解」を導き出す人間の価値観の変革と思考変容こそが急務です。

出典:井庭崇編著(2019)『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』,慶應義塾大学出版会.

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