我が国においては、多くの企業がこの6月に株主総会を開催し、その終了とともに新体制がスターします。
なかには担当役員が代わり、まるで別会社に転職したかのような大きな変化に直面する秘書も少なくはないはずです。
基本的に秘書とは、一人の個人を深く理解し、関係を構築しながら補佐する存在です。
ところが、担当役員が代わると、前任者の仕事の仕方は通用しないことも多く、なかには前任者のやり方を嫌う役員も多いため、秘書はいちから担当役員を理解し、担当役員が望む補佐を実現しなければなりません。
具体的には、秘書が担当役員について理解すべきこととして、おおよそ次の2点が挙げられます。
一点目は、上司のパーソナリティや仕事の仕方、社内外の人間関係や人脈といった担当役員自身に関する理解です。
二点目は、担当役員の社内外における立ち位置や求められる役割といった、担当役員を取り巻く環境に関する理解です。
秘書にとって、担当役員が代わる際に直面するこの「理解と順応」という秘書の「仕事」は、その後の担当役員との共働と共創に大きく影響するため、この秘書の一連の「仕事」を「学習」ととらえ、研究した論文もあるようです。
いずれにせよ、役員人事が動く株主総会の月、どのように「理解と順応」に挑んでいくのか。
まさに、秘書の「秘書としての能力」が問われています。