私は常々、女性の活躍推進には、「3つのポイント」があると考えています。

その一つ目は、企業や組織、管理職などの女性を管理する側と、女性自身の「意識の変革」。二つ目は、長時間労働や待機児童の問題など、女性が働く上で障害となる「制度の変革」。三つ目は、女性が自ら成長するために、教育や経験を積むための「機会の創出」です。

そして、本来ならば、この3つがバランスよく推進されることが望ましいのですが、女性秘書の活躍を推進する際に、特に重要なことは、女性秘書が、成長するための教育や経験を積む「機会」を与えることです。なぜなら、多くの女性秘書の場合、本当の意味で、エグゼクティブの参謀的な「補佐役」を果たせる実力と経験を積んだ人材が、まだまだ少ないからです。

具体的にいえば、現在、多くの女性秘書は、接遇やスケジュール管理などのアシスタント的な業務が中心で、責任ある立場で、補佐役としての職務を全うできる人材が少ないということです。ただし、この現状は、多くの女性秘書に能力がないということではなく、長い間の社会的な男女の役割分担ゆえに、多くの女性秘書が、そのような機会に恵まれなかったことが最大の原因です。

ところが、昨今、女性秘書としてのキャリアが長いから、または、年齢的にもベテランだからという理由で、そのような女性秘書を管理職に登用、抜擢しようという流れがあります。確かに、企業において、秘書やサポート部門は女性の占める割合が多いため、社内における女性活用のモデルケースとして、女性の活躍推進に貢献できる可能性は大きいといえます。

しかし、そのような女性活用のあり方は、本当の意味で、女性の活躍を推進したとは言えません。多くの女性秘書が、自分を成長させるための様々な「機会」を得て、エグゼクティブの「参謀的な補佐役」を担える人材に成長してこそ、管理職として、価値を生むことができるのです。

つまり、管理職になるからには、秘書として、人間性は当然ながら、「業務の内容」と「そのレベル」において、「誰もが納得できる人事」であるかどうかが重要で、「キャリアが長い」「ベテランである」という状況が、女性秘書を管理職に引き上げる理由にはなりません。

いくら秘書を取り巻く「環境や制度」が整ったとしても、その責務と職務に値する「能力や実績」が伴わない女性秘書の管理職登用は、周囲の反感を招き、最悪の場合「女性活躍推進の失敗例」となる可能性が高いため、十分な注意が必要なのです。